就職面接では、何をいかにして伝えるのか
筆者は主に中高年者の就職支援を行っている。
この度、縁あって若い大学生の面接指導を行う機会があった。
彼らのチャレンジ精神、恐いものなし、初々しさなど
中高年者に見られない特徴だと感じた。
少ない職業経験、学生活動、学業などから
必死でアピールポイントを探したという姿勢が印象的だった。
筆者としても非常に気持ちよく、
単なる義務としてではなく、
「社会人としての第1歩」のために、
情熱をもって指導にあたることができた。
2月中旬、2日間にわたった。個別面接指導、1人30分、1日12名である。
連続6時間(この間休憩はなし)。
履歴、アピール事項などが記入された個人票を確認しながら、
模擬面接を行い、最後にアドバイスを与えるのである。
学生の素養は面接についてひとどおりその要領を習得している。
そして、企業説明会などに参加するなどすでに就職活動にはいっているので
かなりの緊張感を持っている。
中には近い将来に応募した企業の面接が予定されている学生もいた。
全体の感想として、
1 見た目からは、清潔感ある頭髪、服装を整えて
いてたいへん良かった。
入退室、お辞儀、動作、姿勢など一通りできていて
比較的好印象である。
いかにもさわやかはフレッシャーマンという感じ。
一部にはお辞儀が浅かったり、視線が泳いだりしていた者もいた。
特に笑顔で話す女性には驚かされた。
どうもアルバイトで身につけたようである。
2 話し方は答える内容により異なる。
答に窮した場合は、当然声が低くなる。自信がない。
3 質問について
一つは「志望の動機」について尋ねた。
自らの実体験から持ってくる者、あるいは説明会参加が
きっかけとなった者など様々である。
どちらかと言えば実体験をきっかけとした方が、好印象。
例えば、営業を希望している某学生は、目標達成力を活かしたい。
アルバイト先のファミレスにて売上アップキャンペーンが行われ、
彼は、一店員として、店長に改善意見を出し、さらに、実行して、
160%の売上に貢献したという。
このようなことから某業種の営業を希望したとのこと。
筆者が採用担当であればすぐにでも採用したくなるような学生だった。
もう一つの質問は「あなたのアピールポイントを1分以内でお話しして下さい」。
様々な答が返ってきた。
しかし、なぜ、それをアピールポイントとして選んだのか?
ほとんどの学生は、
a 人より優れているから
b 経験から学んだ重要なことだから
c 大事にしていることだから
d 評価をうけたことがあるから
などが主な理由のようである。
果たしてそれでいいのだろうか?
どうも筆者にとっては自慢話を聞かされているようだ。
しかも、1分は長い。ひたすら忍耐の時間である。
自慢話にならないように気を付けなければならない。
採用側に関心がなければ自慢話になりやすい。
では、どうすればよいのか?
a 応募職種にはどのような人がふさわしいのだろうかと考えてみる
b その答を基準に自らを振り返ってみる。
c 合致したものがアピールポイント
それは一つだけとは限らない方がよい
すると採用側の関心に結びつくはずである。
自慢話にはならない。
つまり、自分中心に考えるという視点を、応募職種を通じて相手(採用側)から
考えるという視点に変更してみることである。
実はこれは、職務経歴書の考え方でもある。
つまり、求人側のニーズに合致させるのが最大のポイント。
求人側のニーズに合致していないと「自慢話」である。
したがって、アピールポイントの考え方も職務経歴書の考え方も
同じなのである。
以上の主旨でアドバイスしたら、学生の表情は激変した。
本格的な就職活動において具体的にやるべきことが分ったようだ。
是非、希望する応募先に全員就職して欲しいものである。