神社の参拝作法と成功哲学
神社の参拝作法と成功哲学
一 神社参拝の基本
ある土曜日の昼、筆者は自宅近くの歯科医院の待合室にいました。患者が多いので呼び出されるまで時間があると思い、つい本棚に手を出しました。手にしたのは占いとか神社などの専門雑誌でした。ページをめくると、神社の総体系や祀られている神様の種類とその御利益などがまとめられていました。さらに、ページをめくると興味深いことが書かれていました。神社参拝の基本が分りやすくまとめられていました。その内容は、
- 参拝は礼儀正しくマナーを守る
- 願い事は努めて具体的な言葉で
- 「頼む」のではなく「誓う」
とありました。特に②と③を見て「なるほど、これだ!」とうなずいてしまいました。なぜならば、前日まで、某駐屯地において任期制隊員ライフプラン集合訓練の講師を務めた際、「明確で具体的な目標をかかげて、とにかく実行する人生にしよう」と強調したあとに、受講者に「決意表明」を書いて提出していただきました。このようなことから、同様の内容ではないかと強い関心を抱いたのです。
①の具体的な内容は次のとおりです。
・鳥居の位置で一礼する(鳥居からは神様の地域だから)
・帽子、サングラス、携帯音楽プレーヤーのイヤホーンなどははずす
・参道は中央を歩かない(中央は神様が歩くところ)
・鈴は3回鳴らす
・賽銭はお札ではなく硬貨(チャリンと音がすることが重要)
・手水はまず左手に、右手に、そして口の順
・二礼二拍手一礼
・必ずお礼参りをする などでした。
「②願い事は努めて具体的な言葉で」を説明します。例えば「幸せになれますように」では神様もどうすればよいのか分りません。なぜならば、幸せとは人それぞれだからです。また、「大学に合格できますように」では具体的ではありません。どこの大学なのか?いつの試験なのかなど分りません。従って「○月○日、○○で受験する大学入試では○○点取れるように」と具体的にする必要があるというのです。
次に「③頼むのではなく誓う」を説明します。例えば「○○コンクールで優勝させて下さい」ではなく「○月○日、○○で行われる○○コンクールに参加して、自分の○○○○(得意な事)を思う存分発揮して、必ずや優勝しますので、力をお与え下さい」というのが基本であるというのです。
さて、話を戻すと、実は②と③のお話は、ナポレオン・ヒル博士の成功哲学にも収められているのです。
二 人生の成功哲学とは?
当時弱冠25歳だった著者のナポレオン・ヒル博士は1908年アメリカにおいて、「世界の富豪及び成功者500名以上の人たちは、なぜ成功することができたのか」を研究しました。その成果が成功哲学にまとめられたのです。
その内容は次の言葉にさらに凝縮されていると思います。
どんなことであれ、
鮮明に想像し、心から信じたことは
必ず達成される。
自分を信じて、明るい将来を希望すれば、
必ず現実のものになる。
‐ナポレオン・ヒル‐
その成功哲学に収められている目標について紹介します。
目標が明確になってはじめて、実現に至る道筋がみえてくるというのです。つまり、目標とする成功像をはっきりと思い描くことが重要です。
似たようなお話しに、人生において「夢」をもつことが重要だということがあります。
かつて担当したセミナーで、
60歳を超えた女性が「夢を書けと言われても、夢なんかなければ書けない!」ということをアンケートに書いていました。無理して書かなくても構いませんと申し上げていましたが、彼女は少なくとも新たな出発を図るためにセミナーに参加していたはず。少なくとも自分のしたいことぐらいはぼんやりとでも構わないのでつかんで欲しいと願いました。
このように中高年者は、もう夢などないと言わずにもう一度人生の夢を持って頂きたいと思います。小さい、ぼんやりした希望・夢・目標でも構わないと思います。それを出来る限り「具体的・明確な希望・夢・目標」に変えていく努力が実現へ向かう第一歩となるのではないかと思います。
よく「夢を膨らませる」と言われます。これは、単に小さな夢を大きな夢に変えるだけではなく
、より具体的かつ明確にすることを意味していると思います。
また、博士は目標を一つに絞ることが重要だと言っています。あれもこれもと手を伸ばさず、エネルギーを一点に集中する。そうすれば力とエネルギーを集めることが出来ます。反対にあれもこれもと多くの目標であればエネルギーが分散します。いずれの目
標も達成が困難になる可能性があります。従って目標を絞ることが重要です。
三 人生の節目に明確な目標を確立する
人生のほとんどが職業生活ではないでしょうか? すると人生の節目といえば、就職退職ではないでしょうか? 退職前であれば、退職後はどのようなことをするのか、どのように生きていくのかを計画しなければなりません。そのためには目標を確立することが重要であると言えます。自己分析を行い①自分ができること ②自分の夢は何か、こだわりは何か、何をすれば充実感を味わうのかなど ③何が向いているのかという適性などを考慮して自らの目標を決めるのがよいと思います。この際「できれば」という言葉を避け、「○○になりたい」ではなく「○○になる」とし、又は「○○をしたい」ではなく「○○をする」というように決め、さらに具体的に鮮明なイメージを確立することが成功する重要な第一歩になりま
す。
四 プラス思考は成功に導く
成功哲学では実行の段階で次のように考えて行動するとよいと言っています。
物事を前向きに捉えるプラス思考が目の前の事態を好転させると言うのです。
筆者は、現職の頃、1時間半をかけて電車通勤した経験があります。当時、周囲の人からたいへんだねと言われました。東京では当たり前だと言われていますが、正直言って筆者は重荷に感じていました。
ところが、ある日、その通勤電車の中で気付きました。「通勤電車の中ではしっかりと勉強できる。もしかして、神様がもう一度国家試験 社会保険労務士に挑戦するチャンスを与えてくれたかも知れない」と思い立ち、早速行動に移しました。その結果、現職中に資格を取得することができたのです。あのとき、消極的な心構えでいたら今の筆者の姿はありませんでした。
最後に、まもなく定年退職を迎える皆さん、明確で具体的な目標を確立して、退職後の人生第二ステージを準備しませんか?
出典文献
ナポレオン・ヒル 成功哲学 ナポレオン・ヒル財団アジア/太平洋本部
図表も同文献から引用しました。