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ハラハラドキドキのアドバイス

ハラハラドキドキのアドバイス

私は、施設科幹部として自衛隊に勤務し、二〇〇七年定年退職し、在職中取得した国家資格「社会保険労務士」を

生かし事務所を起ち上げ、十三年経過した。

最近、とてもうれしいことがあった。

三月上旬、いきなり聞き覚えのあるH社の女性事務員から電話がはいった。

なんと二年ぶり。

 

実は、同一労働同一賃金に関する改正労働者派遣法が二〇二〇年四月施行のため、多くの労働者派遣事業者が、

その準備に苦戦している中、私は、小規模事業のH社のことがとても気になっていた。

そのH社との出会いは四年前の二〇一六年八月にさかのぼる。

社長との初度面談から始まり、ご要望(課題)を伺い、アドバイスと支援を行い、

二〇一八年六月「労働者派遣事業」の許可を受けたのである。

 

この背景には、二〇一五年、労働者派遣法が改正され、これまでの「届出制と許可制」の二本立てから

「許可制」のみになったことがあり、H社は「届出制」で派遣事業を営んでいたため、「許可」申請し、

二〇一八年九月まで許可を受けなければ、事業ができなくなるという事業存続の危機を迎えていた。

当時の新たな許可基準はとても厳しく、会社の現状を知るほど「合格」には程遠い状態であることが分かった。

様々な課題解決のため、なんと約二年の歳月を費やした。

 

さて、自信をもって十分なアドバイスができず反省する場面が多々あった。

許可基準の中に「資産要件」がある。

それは「負債を除いた純資産二千万円必要」とある。

会社の当時の純資産は一千万円。

よって一千万円の不足があり、どのように対策するのか。

すると社長は覚悟を決めて、当時自身が住んでいるマンションを売却し、実家に移り住み、会社も移転するという。

実は、この件に関し、私の専門外であり、自信はない。

断わりたい、逃げたい。

しかし、H社を助けるためには引き下がるわけにいかず、緊張しながらもアドバイスを続けた。

 

ハラハラドキドキした当時の会話の一部を紹介すると、

社長

「私は、自分のマンションを売ったお金を会社に貸せばいいのか?」

(借金は負債、個人から借りても負債のはず!)

「社長個人からの借金なので会社の純資産になりません。資本を増やす必要があります。」

(どうやって増やすのだろう?)

社長

「では、会社の資本を増やすためにはどうすればよいか?」

「申し訳ありませんが、資本を増やすには、私はお手伝いできません。司法書士などに相談してみて下さい。」

と最後は他の専門家への相談を勧めた。(本当に司法書士でいいのだろうか?)

 

数カ月後、社長のもとに、司法書士、行政書士、社会保険労務士の私が呼び出され、打ち合わせ会議。

自宅マンションを売却できたので、資産を二千万円に引き上げる見通しがつき、

各士業それぞれの立場で手続きを行うことを確認した。

これで、無事大きな課題が解決した。

 

しかし、その後も、数々の難題が待ち受けていたが、熱意と創意工夫で何とか克服した。

思い起こせば、自衛隊在職中は、施設科幹部として、「作戦上の要求・被支援部隊の要求を第一義として

任務を遂行せよ」と教えられ、戦闘支援、兵站支援の両分野で業務を遂行した。

まさに、当時の「教え」や「経験」を生かし、「相手の助けになる」よう、アドバイスをして企業を支援中である。

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