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卒業(退職)後発見した自分の能力

修親 2008. 4

卒業(退職)後発見した自分の能力

仙台・準会員 三上久美

 

私は、定年退職後、気付いた自分の能力があります。驚きました。おそらく多くの幹部自衛官が同じように持っている能力だと思います。ただ、気づかないだけだと思います。

実は、私は平成十九年九月、東北方面総監部勤務を最後に定年退職しました。即ち自衛隊を無事、卒業したのです。

 

私は現在、社会保険労務士の資格を生かしながら、二十代から六十代の雇用保険受給資格者(失業者)を対象に労働局主催就職支援セミナーの講師をしています。宮城県及び山形県の各ハローワークが管轄する地域において、自己分析、履歴書・職務経歴書の書き方、面接の受け方などを指導しています。

 

セミナーの中で、「あなたは、これまでの職務経験から、何を学び、何を身につけ、何ができますか?・ 自問自答してください。これが就職活動の出発点ですよ。これらを明確にすることにより、応募書類(履歴書・職務経歴書)を書くことができ、さらに、面接にも対応できるのですよ。」 ところが、なかなか自分の能力とか、得意分野がわからないものです。私自身もそうです。そこで、退職してから気付いた「私にとって意外な自分の能力」を紹介します。

 

そのーつ目は、パワーポイントを使用した資料作成能力です。

知り合って間もないベテラン社会保険労務士が、私が作成した講義資料を見て言いました。「三上さん、いいですね、これ。社長さんに説明するとき、これならいいよ。」と言われました。その資料は、現役時代、使い慣れたパワーポイントのソフトを使って、できるだけ文章を少なく、絵で説明しているものです。現役時代は当たり前のようにパワーポイントを使って資料を作っていたのです。

「それじゃ、あなたはどのような資料を作っているのですか?」

と尋ねたところ、彼は、文章を書いた資料をもって説明するそうですが、社長は忙しいので、なかなか理解してくれないと嘆いていました。

パワーポイントソフトを使った説得力のある資料作成能力は、一般社会においても十分通用する大きな武器となります。

 

その二つ目は、事案のまとめ方です。

某団体主催の講師養成の中央研修会があり、全国から参加者が集まりました。その研修のーコマが 「転職事例研究・教訓」でした。各グループに分かれ、リーダーの統制下、事例について討議しました。私が記録兼発表者に指名されました。私は、様々な意見を、スペースのある限り、黒板に書きました。

さて、発表を一任された私は、しばらく考えて、腹を決めました。普通ではとても読めそうもない黒板のメモを次のようにグルーピングし、その順序で発表しました。

①事案の概要

②考えられる原因

③対策・処置事項の順  でまとめ発表したのです。

発表が終わった瞬間、講師をはじめ、同僚からたいへん分かりやすく、すばらしいとお褒めの言葉をいただきました。

謙遜しながら私は、「自衛隊では当たり前のようにやっていることです」と言いました。すかさず、「自衛隊はレベルが高いですね。」と言われました。現役時代は気づきませんでしたが、本研修会において初めて気づいた能力でした。

 

その三つ目は、面接におけるお辞儀がうまいことです。

就職支援セミナーで、面接の受け方を講義し、実習を行います。受講者に、模範を展示しながら説明をします。入ロで、そして椅子の横で、問答が終わってまた、それぞれお辞儀をします。読者の皆様にとってはおなじみの場面です。

不動の姿勢から、ややゆっくりめにきちんと四十五度のお辞儀をして見せます。私の行動を見た同僚講師が驚いて言いました。「三上さんのお辞儀はすばらしいですね。講師のなかで一番ですよ」と。私は 「え?」 と思いましたが、どうも事実のようです。

 

私は思いました。自衛隊勤務で当たり前のようにやっていたことでも、こんなに高く評価されるものがあるのだと。

 

皆さん、どうでしょうか?「そんなの、俺だってできるわい。」 と思われたと思います。

このように現役時代、職務を通じて身に付く能力があるのです。むしろほとんどの能力は職務遂行を通じて身に付くのではないかと思います。ただ、気づかないだけです。今の職務を誠実に遂行し、自らの能力を高めて下さい。その結果は、自衛隊精強化にも通じると思いますし、皆さんの将来にも必ずプラスになります。

皆様のご健勝を祈念します。

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