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定年後の就職にはどんな資格がいいのか? 1

修親2009.1

定年後の就職にはどんな資格がいいのか?

仙台・準会員 三上ヒサミ

  はじめに

定年退職を意識し始めると、一般的にはまず思いつくのが「定年後何をしようかな?」という将来の方向です。次いで資格です。

就職にはどんな資格がいいのか?

どんな資格があるのだろうか?

資格を取るのにどうすればいいのか?

資格試験勉強はどうやればいいのか?

資格って本当に就職に必要なのか?

資格を取っていいことがあるのか?

などの疑問が湧いてきます。そこで、本稿ではこれらの疑問について、できる限り経験等を踏まえ具体的に解説します。

 

  一 就職に一番いい資格とは?

私が現職の頃、雑談をしている最中に、A一尉から次の質問を受けました。

「班長(当時の私)と話しをするまで、定 年のことを一度も考えたことがありません でしたが、就職するのに資格はあった方が いいんですか?」

「それは、ないより、あった方がいいです ね。同じ会社に二人が応募したとしますね。 片方は資格なし、もう一方は資格を持って いる。一人しか採用枠はありません。二人 とも能力・意欲等は同等。さて、あなたが 採用側の社長だったらどうしますか?」

「そりゃあ、もちろん資格を持っている人 を採用しますよ。その方が安心するという か業績アップに影響ありそうですからね。」

「そうですよね。だから、あった方がいい と一般的には言えます。だからと言って必 ずなければならないかとそうではありませ ん。ただし、資格がないと仕事にならない という職種も少なからずありますが、その 場合は資格は絶対的なものになります。」

「班長、ちょっと真剣に考えなければならないですね。ところで、私の場合、定年後の就職に一番いい資格は何ですか?」

いよいよ難しい質問が飛んできたのでちょっと間をおき、

「そうだね、『弁護士』が一番いいかも知れませんね。」

と答えたら、声を荒げて、

「班長、からかわないで下さい!そんなの取れるわけないじゃないですか!」

「一番いい資格は何ですか?と聞いてきた から、素直に答えただけですよ。」

「からかわないで下さい。」

「そうですか?それじゃ質問しますが、将 来あなたは何をしたいと考えていますか?」

「いや、まだ決めていません。はっきり言って何をしたらよいか分かりません。何かア ドバイスをお願いできませんか。」

当時、このような会話をしていたのを覚えております。

さて、一般的によい資格とは、その資格の保有者でなければ業務ができないもの、すなわち法律で保護されている「独占業務」があり、比較的知名度があり、それ相応の収入が得られるものが一番いい資格と考えられています。

例えば、司法試験(弁護士)、税理士、公認会計士、行政書士、社会保険労務士、司法書士などがあります。これらの資格は、組織の一員としてその能力を発揮するよりも、独立開業して、その専門能力を発揮する方が一般的であります。

次に、一定基準以上の場合、必ずその資格者を配置するよう義務づけられているものがあります。例えば、業種に関わらず従業員五十人以上の事業所の場合、必ず「衛生管理者」を配置しなければなりません。もし、未配置ならば、事業所の責任者が①自ら同資格を取得するか②従業員に取得を促すか③資格保有者を新たに採用しなければなりません。

また、不特定多数の人が出入りするデパート、病院、大規模ビルなどにおいて、これを管理する場合、「建築物環境衛生管理者技術者(通称:ビル管理)」を置かなければなりません。

このようなニーズのある就職先では、当然有資格者は有利になることは言うまでもありません。

この他にも、職務を遂行するのに必要とされる資格免許は数多くあります。いい資格とかよくない資格とかの問題ではなく、必要かそうでないのかを見極める必要があります。従って、必要な資格を保有せず、職務を優先して就職を決めた人はその資格を取得しなければなりません。

ところが、現実的には就職活動を始めてから、あるいは就職先を決めてから資格免許を取得しようとしても通常その時点では取得のための時間がほとんどないことに気づきます。

さらに、もっと早くから資格取得を考えた方がよかったと後悔します。

従って、どんな資格を取ろうかということは、どんな職に就くかという問題になるのです。

 

 二 あなたにとっていい資格とは?

ところで、A一尉の場合、「弁護士」という資格は、なぜ「いい資格」と受け入れられなかったのでしょうか?

それは、取得の可能性が低いこと、仮に取得したとしても、将来彼はそれに情熱を傾けて職業として成立させられる自信がない。そして、これまでの経験を活かせない。といった様々な理由から「いい資格」ではないと判断したようです。

それでは「あなたにとっていい資格とは?」をいかに考えたらよいのか?

①これまでの経験と現在の保有資格から判断し何ができるのか(職業能力)

②自分は何に向いているか(職業適性)

③何にこだわるのか、夢は何か、何をすれば面白い、充実感を味わうことができるの か(価値観)

④そして、以上のことについて実現の可能性等を考慮して総合的に決定した「将来の方向性に関連したもの」でなければなりません。 さらに、例えば仕事をやめるとか現在の生活勤務を変更することなく、それ相応の努力を傾注すると取得可能な資格が、最もよいと考えられます。

反対に、どんなに立派だと言われるいい資格を取得したとしても、将来の方向性に全く関連がなければ意味がありません。事実、たくさんの資格を取っても、それらを再就職に活かしていないOBがいますが、取得時の苦労、時間、経費などを考えた場合、本当にもったいないことだと思います。

また、例えば、A資格を保有しているが、ある事情によりその資格を活かした仕事はやりたくない、避けたいと望んでいる退職者がA資格ではなく、B資格を活かすような就職をしたとします。その後、会社の都合で、A資格が必要とする業務が発生した場合、本人の意思に関わらず、A資格を中心とした業務遂行を命ぜられる恐れがあります。

やはり、資格取得において最も重要なことは、「あなたの将来の方向性に関連した資格」を目指すべきと考えられます。

従って、「どんな資格を取ろうか?」と考える前に「どのような方向に進むのか?」「どんな職に就きたいのか?」を考える方が先決であると言えます。

 

 三  間違った資格の取り方

前述のとおり、将来の方向性に関連が全くない資格取得に情熱を傾けたとしても意味がありません。よく「取れそうだから取っておこう。」「今しか取れないから取ろう。」「何でもよいから取っておくと安心!」などと安易な考えは注意して下さい。将来の方向性とその位置づけを考えないでやみくもに取るのは、時間、労力、経費の観点から無駄で非効率です。

ただし、将来に活かさず、通称「資格マニア」として、多くの資格を集めるのが趣味だという人は話は別です。

 

 四 将来に結びつく資格の効率的な取り方

資格には法律に裏付けられた国家資格をはじめ、公的資格、民間資格など様々あります。

そこでたくさんある資格を効率的に取得する方法として次の方式が考えられます。

①逐次レベルアップ方式

②同種同類資格取得方式

③中核資格から周辺資格取得方式

④周辺資格から中核資格取得方式

⑤一挙突破による取得方式

などが考えられます。

①逐次レベルアップ方式とは、例えばまず比較的取得容易な○○○二級を取得し、自信がついてから、○○○一級に挑戦するというレベルアップを図る方式です。比較的多くの時間を要しますが、取得の充実感を十分味わい、意欲の向上を図りつつ無理なく取れる方式です。

現実的には、○○一級の場合、○○二級取得と一定の実務経験を受験要件としており、必然的にこの方式にならざるを得ない資格が多くあります。

②同種同類資格取得方式とは、例えば「防火」をキーワードとして、危険物取扱者、防火管理、消防設備士などの資格を取得する方式です。これらは、試験実施者が同じだったり、試験内容が近似していたりして、一つの資格を取ることにより、他の資格も取りやすく、時間さえかければ無理なく取得できます。ただし、注意しなければならないことは、取りやすいものにひかれがちですので、目的をいつ脱しないよう、何のために取るのかを常に頭に入れて取得する必要があります。

③中核資格から周辺資格取得方式とは、例えば、中核となる社会保険労務士を取得し、次いでファイナンシャルプランナー、産業カウンセラー、行政書士など周辺の資格を取得する方式です。

これは、主として高年齢者を対象に年金をはじめとする各種社会保険に関する相談を中心として、資産運用、相続を含めた業務を行うイメージを前提とした資格類です。

中核となる資格が比較的難しいと時間と労力を要します。従って、④周辺資格から中核資格を取得する方式がより効率的かも知れません。

⑤一挙突破方式は、当初から、お目当ての資格に挑戦する方式です。難関の資格であればあるほどかなりの時間と労力、経費がかかることを覚悟しなければなりません。もちろん、取得の可能性も十分考慮する必要があります。そうでなければ途中の挫折を覚悟しなければなりません。

次号に続く

 

 

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