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定年退職後の人生は付録の人生?

定年退職後の人生は付録の人生?

一 現役時代は、あまり考えたくない定年後の人生

現役時代、特に50歳前後は、目の前の業務に忙殺されて、自らのことをじっくりと考えることは、まずありません。達成しなければならない業務目標、解決しなければならない問題・課題、新たな事業計画の作成とその実行、特に大規模な事業になればなるほどその早期から、そして、多くの部署と関わるため膨大な業務に追われてしまいます。また、規模が小さくとも、多くの種類の業務を抱えながら同時並行的にその遂行に奔走せざるをえません。一方、家庭を顧みますと、子供の教育・就職、マイホームローンの支払い、地域活動などにより家庭においてもなかなか自らのことをじっくり考える機会は多くありません。それでもなんとか時間をやりくりして、ゴルフや釣り、旅行、映画、コンサート、スポーツなどの趣味に没頭する息抜きの時間を楽しみます。

このような時期は、まもなく迎える定年が気にかかって来ますが、どちらかと言えば「避けて通りたい」、」考えたくない」というのがホンネではないでしょうか?できればこのまま続けたい。しかし、現実に目を向けるとやはり「定年」がその向こうにそびえ立っていることは間違いありません。さらに定年後の向こうにはどんな人生があるのだろうかと覗いてみたい、しかし、よく分らない。それで、今の仕事、趣味、地位活動、スポーツに専念することにより、それらの不安から逃れようとします。それは、とりもなおさず、自らの将来をあえて遠ざけていることになるのではないでしょうか?

二 平均寿命からみた80年人生

さて、厚生労働省が発表した08年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男性で79.29歳、女性で86.05歳となりいずれも前年より延びました。

仮に50歳の男性を例にとりますと、約80歳まであと30年(ここでは第二ステーと言います)もあります。それでは50歳までの人生を振り返りますと、この世に誕生して、概ね20歳頃までは親に育てられ、学校の先生に教えられ、早いうちに就職した方は職場の上司・先輩に教えられた、いわゆる「成長期」と言えるのではないでしょうか。そのような意味では「一人前」になるまで周囲の人たちに支えられた時期であると言えます。

それでは、この時期は「本当の人生」と言えるのでしょうか。本当の人生は「成長期」を終了した20歳頃にスタートしたのではないでしょうか。

その20歳から50歳までの期間(ここでは第一ステージと言います)は、大人として社会人として職場においては自らの能力・資質等を十分発揮して、組織・社会に貢献し、その見返りとして報酬を受け取る。さらにこの時期には、結婚し、子供をもうけ、子供を育て、そのためのマイホームを購入し、車を購入し、家庭人としても活躍する、そのような時期ではないでしょうか。

この時期は、何が何でも、家族のため、マイホームローン返済のためにも、収入の道を失うわけにはいきません。収入の道を失うことは家族で路頭に迷うという非常に大きな問題となりますので、勤務に対する情熱の有無に関わらず、勤務に専念しなければなりません。いわゆる「仕事一筋」にならざるを得ません。昔、職場に定着しない者は、よく所帯を持つよう勧められたものです。

今50歳だとすると、20歳~50歳までの30年間の人生を送った事になります。将来に目を向けると、また、30年間の人生があるのです。「いや、私の寿命は短いかも知れない」と思われている方は、自らの寿命と相談された方がよいと思います。ここでは平均寿命から一般論として申し上げておりますのでご了承下さい。

繰り返しますが、今、50歳の人にとって、人生80年ということは社会人として人生をすでに30年間送ったことになります。そして、このあとまた30年間の人生があるのです。

ここで考えていただきたいのは、貴方は30年という期間の人生を、単に「定年後の付録の人生」と片づけられますか?

さて、もう一方の見方もあります。それは、第一ステージの30年間の勤務を時間に換算します。一日8時間勤務、通勤に2時間、残業に2時間、合計12時間とします。1年間から休日を減じた246日勤務すると88560時間になります。つまり、30年間勤務したと言うことは約9万時間を勤務に要したことになります。

次に第二ステージの30年間を時間に換算します。睡眠、食事など生理的な時間等を除くと1日12時間、土日関係ありませんので1年間365日、30年間では、なんと131400時間になります。つまり、第一ステージの30年間勤務に要した時間の約9万時間に対し、第二ステージで自由に使える時間はなんと約13万時間です。何もしなければ、第一ステージよりもはるかに多い自由時間が待っているのです。

これを考えた場合、第二ステージの人生は付録の人生と言えるのでしょうか?

三 定年後の人生こそ、自分らしい人生

社会人として、家庭人として、子育て、マイホームのローン返済などその務めを果たし終えるのは50歳台ではないでしょうか?自衛官の定年退職者は54歳・55歳に最も多く集中しています。この頃ではすでにほとんどの役割を終了しているのではないでしょうか?また、その方が理想と言えると思います。マイホームローン返済は定年退職時の退職金をあてにする方がいますがあまり好ましい方法だとは言えません。54歳以降はすでに「第二ステージ」に突入していることになりますが、その大きな結節はやはり定年退職であると思います。その時期に「定年退職後の第二ステージをどのように送るか」を考えるのは遅いかも知れませんが、定年という結節に合わせて、第二ステージをどのように送るのか真剣に考える必要があるのではないでしょうか?

定年後には新たな局面を迎えることになります。「加齢」に伴って、体力が減衰し病気も多くなります。働き口が減少します。しかし、子育ては終了する、マイホームローンの返済を完了し、それらから解放されます。精神的な解放感を味わうことになります。いよいよ、自ら本当にやりたいことができる本当の人生に突入すると言っても過言ではありません。「加齢」に適切な対策を講じつつ、自らの本当の人生を送ることができるのは定年後の第二ステージではないでしょうか?

四 第二ステージのため、今すぐ準備を!

50歳を過ぎた方はすでに第2ステージに突入しています。

20歳~50歳までの第1ステージの人生を送るため、20年間の「成長期」という助走期間がありました。第2ステージの人生を送るため、「成長期」のような20年間の準備は必要ないと考えられますが、だからと言って、全く何も準備しないことはいかがなものでしょうか?30年という第二ステージの人生を送るため、今からでも遅くないのではないでしょうか?決して目を背けることなく、将来をしっかりと見据えつつ、そして、現在の生活、勤務、地域活動を通じて自らを十分磨き上げることに努力専念したらいかがでしょうか?集大成の時期です。そして、次のステップへの助走期間でもあるのです。そのような意味で、定年退職を迎えるまでの現職勤務期間は、これまで以上に大いに大切にすべきではないでしょうか?

 

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