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震災時は失業者の求職活動にも配慮すべき

4月1日朝、40歳くらいの男性が息を切らしながら相談に訪れた。
自宅は空港近くで床上浸水し、車も流されたという。
ようやく自宅を整理し、落ち着いたので求職活動を再開するため、行動したのである。

電車も不通。だから、移動手段は自転車だけ。
約50分かけて隣市から名取市内にある地域職業相談室にやって来たという。

ところが、いつも求人検索をしていた地域職業相談室(職安の一部組織)が
閉鎖されていてがっかり。
そこで、名取市役所内にある筆者の相談所にやって来たという。

求人検索をすれば求職活動の実績として認められる。
求職活動が認められると失業認定される。認定されると基本手当を支給される。
これが失業者の生活費となる。彼は扶養家族もいる。
従って、基本手当という少ない収入が途絶えるとたいへんなことになる。

今回は求人検索ができないのである。
つまり収入が途絶えることになる。
死活問題である。
そこで、本人が直接、ハローワークに電話をし、相談。

その話しぶりから、ハローワークに行かなければならないという。
しかし、自転車で移動するか。
するとすればさらに40分くらいはかかる見込み。
バスの利用はどうか?
以前、バスを利用した際、ぎゅうぎゅう詰めで立った状態で2時間も揺られたという。
そして、乗り換えしなければならい。
所持金が少ない者にとって払うお金はもったいない。
だから、2度とバスを利用したくないという。
また、乗るためにも長い列に並ばなければならない。

しからば、隣町のハローワークはだめなのか。
求人内容はその地域のものが多いのため意味がない。

そこで、結局は、相談室はいつ再開するのか?ということになった。
ところが回答は非常に歯切れが悪くはっきりしない。

彼はまた肩を落とした。

そこで、私も対応策を思案した。
ハローワークの上部組織である労働局職業安定部へ電話を入れ、
明快な回答をもらうよう迫った。
その内容は4日0900に再開するという。
しかも責任者の回答。
その旨本人に伝えたら、安心したようだ。

ところでその後本人に質問した。
どんな仕事を求めているのかを確認したら、
これまでセールスマンを20年以上経験しているが
ノルマがいやなので同様の仕事はしたくないという。

そして今、通信教育で宅地建物取引主任者の資格試験を受けるため勉強中という。
結局何をしたいのかが見えてこない。
よく尋ねると他にも2つのことを考えているという。

そこで、もう一度優先順位をつけて何をしたいのかを
きちんと考えて結論を出したらと助言した。
なぜならば、求職活動のエネルギーを分散すると、極めて就職が困難なこのご時世に対応できないのである。
仮に今の状態で書かれた応募書類の内容は簡単に想像がつく。
とても採用したいと思われない内容になる。

そこで、その決め方を解説した。
ということでしっかりと考えたらいかがとお伝えした。

しかし、それにしても公共の機関が業務停止であればきちんと伝えるべきではないでしょうか?                            このようなきめ細かな情報提供もマスコミを利用したらいかがでしょうか?
もちろん、自宅ではインターネットもできない状態なのである。
ホームページを見れば分る方式では無理な話しである。

また、職業相談室が閉鎖された理由は震災で建物が被害を受け、その修復の見通しが立っていないからと言うのである。
それならば、市役所内の一部スペースを借りて、相談所を開設してもよいのではないかと思う。

このように、震災を受けたときの対応処置として、行政側が普段から具体的に検討しておくべき課題だと思う。

それにしても、何としても本人には就職して欲しいものである。

最後まで相談に応じられないことが残念だが、就職相談については来週から本来の組織が機能を回復するので、                     とうとう私の出番はなくなるようだ。

お断り:画像は2020年9月10日挿入しました。

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