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改名して思うこと

改名して思うこと

1,戸籍上の名前を改名

マイナンバー制度の施行前の9月、家庭裁判所へ、名前を正式に改名する申立てをした。直ちに許可され、区役所で「久美」からこれまで通称として使用していた名前(氏名のうち名をいう。以下同じ。)「ヒサミ」へと戸籍名を変更する手続きを行った。

改名の機会は8年前の独立開業する際にもあり、姓名判断、家庭裁判所、社会保険労務士会に相談したが、命名者の親に対し申し訳ない気持ちが強かったので改名の決心に至らなかった。それ以来、通称として「ヒサミ」を使用することにした。

 

そもそも改名理由は次のとおり。

「久美」 は一般的に「クミ」と読まれる。すると「女性」と判断される。この結果女性と間違われることが多い。

例えば次のような事例がある。

現役のとき、月曜日から金曜日までの、とある研修参加のため、日曜日のタ方、専用宿舎に 到着。

係は不在。掲示板には部屋割り表。自分の名前を見つけ、重い荷物とともに指示された部屋に入った。

人影がなく、二つのうちもうーつのベッド周辺にあるピンクの小物入れなどから先客は女性であることに気付いた。

寝具を持参して、暖房のない空き部屋で一夜を過ごした。初日の研修ではひたすら睡魔との戦いだった。

係は私の名前から女性と判断し、部屋割りを決めたらしい。

また、最近では、妻が、世帯主としての私の名前を書類などに書く場合、「ご主人の名前を書いて下さい」と言われたり、世間からは「母子家庭」のように見られていたという。

つい先日、妻も同席して、契約書に署名中、女性担当者に「ご主人、奥さんの名前ではなく、ご自分の名前を書いて下さい」と言われたので、すかさず「これが、私の名前です」とやや不機嫌に言い放ってしまった(その後反省。)

2.名前の役割は何だろうか?

筆者は、男のみの4人兄弟の三男。第3子には女の子が欲しいと強く願っていた親の期待を見事に裏切って私が生まれた。

しかし、あきらめきれなかった母親は、用意していた名前(久美)を付けたらしい。ちなみに他の兄弟はとても男っぽい名前。

ところで、命名者は、子供の将来、子供の幸せを考え、〇〇のように育って欲しい、〇〇のような人間になって欲しいと願い命名するのが一般的。だから、名前には命名者の深い思いとその背景が込められているといっても過言ではない。

さて、そもそも名前の役割って何だろうか?

①他人と識別する
②親など命名者との紳
③性別を判断する手がかり
④存在を証明する一部
⑤出生順序の手がかり
⑥出生年代推測の手がかり
⑦(名前の意味が)本人の人生の指標などが考えられる。

筆者の旧名は、残念ながら③に大きな支障を及ぼした。

 

3.昔は改名が当たり前?

歴史を見ると人生の節目で名前を変更していたことが分かる。

奈良時代以降、男子の成人を示す「元服」という儀式があった。髪型など「見た目」の変更だけでなく、幼名を廃して元服名を新たに付けられた。

また、ウィキペディアによると、徳川家康は、幼名「竹千代」→「松平元信(この時の通称は次郎三郎)」→「松平元康」→「徳川家康」へと年齢、時代の変遷とともに改名している。

これらを踏まえると、現代人は、出生時の名前を、成年以降の人生にも使用している、つまり「幼名」を生涯使用していると言えるのではないだろうか。

果たしてこれでよいのだろうか?

4. 成年時名前再登録制度の創設を提案

さて、人生80年と言われるなか、法律的には20歳で成年となる。

そもそも「成年」は、「法的には単独で法律行為ができる年齢、一般社会では、身体的、精神的に十分に成熟する年齢」であり、つまるところ「一人前」である。

ここで、提案したい。

その後の人生に自らの責任を負う観点から、成年以降の人生を展望した名前、新たな決意を示す名前、自らの存在感を示す名前などを検討し、成年に達したとき、原則として自らあらためて名前を届け出ることを提案したい。検討の結果、これまでの「幼名」を継続使用するのもよし、新たな名前とするのもよし。

全国的に行われる成人式はあくまでも儀式である。儀式だけでは成人への自覚が生まれにくい。生まれたとしても一過性になりがち。成年時名前再登録制度の最大の効果は、その後の人生をおのずと主体的に受け止め、自立を促し覚悟を決めることができると思う。

 

役所の業務は増えると思うが、それよりも、独り立ちしない若者の世話をすることを考えると、よりましだと思う。

恥ずかしながら筆者の場合、自分を見つめ、人生を振り返り、その後の人生を最も深く考えるきっかけは、50代になって定年退職という大きな人生の出来事を迎えたときである。

これを成年に達したとき自分の人生を考えていれば、人生への取り組み姿勢が違っていたかも知れない。

5.さいごに

改名は、現実的に多くの時間と労力を必要とする。

戸籍・住民票、運転免許証、不動産、自動車、預金通帳、電気・ガス・水道などの多くの氏名変更手続きをしなければならない。

しかし、これからは、誰からも「ご自分の名前を書いて下さい」と言われないだろう。

痴ほう症のため施設に入居している母親に対し、これまでたっぷりと旧名を使わせてもらい感謝している。

漢字「久美」とカタカナ読みの「ヒサミ」は関連性があり、これまでの事情も考慮すると改名は許してくれるだろう。

これからの人生を新名とともに新たな気持ちで進みたい。

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