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講義時間の管理について思う

講義時間の管理について思う

 

1 講師の役割

受講者から、「頑張ります!」「やってみます」「自信がつきました」という反応があった時ほどうれしいことはなく、講師冥利と言えるかも知れません。

青木羊耳氏は、「普通の講義」を担当する講師の役割は「インストラクター」であり、「ほんものの講義」を行う講師の役割は「ファシリテータ」であると言っています。

私なりに申し上げれば、講師の役割は「伝えるべきものをきちんと伝えて、実行を促すこと」であると考えます。その役割を果たす前提条件として、示された講義時間を最大限に活用するため、時間管理を適切に行うことが求められます。

2  講義時間を管理する重要性

講師にとって、いただいた講義時間、すなわち主催者及び受講者にとって2度と戻らない時間を最大限活用し講義の効果を上げなければなりません。開始・終了時間を厳守し、途中では休憩をとらなければなりません。簡単なようで難しいものです。

例えば、休憩時間については、事前に主催者側に確認し、講義中、受講者の様子を伺いながら、いつ、どのくらいの休憩をとるかを的確に判断しなければなりません。

筆者は、受講者の様子はもちろん会場の気温、時間帯、受講者数、性別、トイレの位置とその数によりますが、例えば高齢者の場合、トイレが近いので休憩は最小限1時間単位で5~10分くらいを目安としております。

問題は終了時間。準備した講義内容のすべてを伝え終えると同時に講義を終了するのが理想。このため、終了直前の講義内容には十分余裕を持たせ、終了予定時間を確認しつつ終了することにしています。最終段階は、もうすぐ終わりだという油断の心と、受講者の反応でつい気が緩みがちな心を戒めて慎重に対応しています。「終わりよければすべてよし」を肝に銘じています。

さて、ここで講義時間の管理について筆者の苦い経験を紹介します。

⑴ 2時間の就職支援セミナーを、終了予定時刻より約10分遅く終了した。すると会場管理の会社から注意された。

「時間通りでないと会場使用料金の追加分をいただくことになります」と。

「はい、すみません。次から注意します」。

⑵ 示された講義時間を詳細に計画し、当日の講義に臨んだ。突然冒頭に主催者が挨拶をしたいとの申出があった。

「こちらから挨拶しますので、よろしいですか?」

「はい、大丈夫です」(と戸惑いながらも答え、5分くらいは何とかなると考えた。)

実はそのセミナーは時間に比し、要望された内容が多く、1分でも惜しいところ。

ところが、主催者の挨拶で5分どころか15分もの貴重な時間が消えた。

講義をしながら、どこで時間を挽回すべきか終始悩み、最後は焦ってとても早口になってしまった。(1時間30分のセミナーで、突然15分も消えるのはきついよなあ。)

その後、会場に到着したら、まず、主催者への挨拶とともに予定の変更の有無を確認することにしている。もし、時間・内容の変更があれば、その場で即刻レジュメを再確認して修正することにしている。

⑶ あるセミナー会場内に、受講者の前面と後面にそれぞれ壁時計が設置されていた。

筆者は、前面の時計の存在に気づかず、後面の時計を見ながら講義時間を管理していた。終了予定時刻の12:00まであと2分、いよいよ最後のまとめにはいった。そのとき、受講者が突然ざわめいた。しかし、気になるほどではなかったので、予定通り12:00に終了した。終了直後、受講者が突然前面の壁時計を指さしながら、「先生、時間通りに終わっていただけませんか?」と言った。

その時計は12:02。

「え、12:02? 後ろの時計は12:00?」

なんと、前面の時計と後面の時計には2分の誤差があった。

それからは、講義開始前には必ず時計の有無とどの時計で進めるか確認することにしている。もし、会場に時計がなければ、自分の腕時計を利用することにしている。

3 セミナー会場の時計について

ほとんどのセミナー会場には壁時計が設置されていますが、設置場所はさまざまです。

⑴ 受講者から見て前面の壁の場合。この場合の時計は、講師が見ることができないから役にたちません。どうも受講者のためにあるようです。講義時間を管理すべき講師が活用できないのは残念です。できれば避けたい会場です。

⑵ 次に左右いずれかの側面の壁の場合。講師はもちろんほとんどの受講者から確認でき、とても利用しやすい。

⑶ 受講者の背面の壁の場合。講義時間を管理する講師のためにあると思いますので、とてもうれしくなります。時計が「頑張れよ」と言っている気がします。

さて、読者の皆様は会場の時計についてどのように感じているでしょうか?

現実的には、どうも前面の壁に時計があることが多い気がします。多目的会場ならば仕方ないですが、セミナー専用会場の場合、建築設計者は「講師の立場」を理解されているのか?はたまた専門家としての他の視点があるのか?とても疑問です。

なお、自分の腕時計で時間管理を行うことができます。しかし、視線が下に向くことになり、受講者に「講師は自分たちに集中せず、時間を気にしている」と悟られてしまいます。できれば避けたいものです。

4 おわりに

筆者は、講義時間を適切に管理することは、講師として必ず対応しなければならない必要最小限の基本的な仕事だと考えております。そのうえで、「伝えるべきものを、創意工夫してきちんと伝え、実行を促す」ことに全身全霊を傾けたいと思います。

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